「むち打ち」で首の痛みを苦痛と感じる人・感じない人

「気をつけて!ぶつかる!」
ガシャーン!!
「大丈夫?」
「ああ……大丈夫そうだ。そっちは?」
「まだドキドキしてるわ。でもシートベルトをしていてよかった」

車に同乗していた2人は一瞬目がくらみ、大きく揺さぶられて「むち打ち」になりました。当初は2人ともさはどの痛みも感じず、命があってよかったと喜びます。

けれど時間がたつに連れて、特に首に痛みを感じるようになります。

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運転していたJ.Bさんはつい最近解雇されたばかりで、妻との関係もうまくいっていません。この数ヵ月間というもの、神経が張り詰めストレスを感じていました。事故当日も時間がたつにつれ、またその後数日が過ぎるうちに、J.Bさんは首の痛みと筋痙挙が強くなってきます。痛みや将来への不安で目が覚めてしまい、睡眠も途切れがちです。

同乗のP.Gさんは最初、接近してくる対向車の姿を目にして、衝突は避けられないと恐怖に陥りました。そして一瞬目がくらみ、大きく揺さぶられましたが、やがてひどいけがもなく命も助かってよかったと胸をなでおろします。

彼女は仕事も私生活も楽しんでいました。夫婦関係も経済状態も安定していました。事故当日、P.Gさんも時間がたつにつれて首や背中、頭に不快な症状が出てきます。

そこで鎮痛剤を飲み、冷湿布をしました。1日休息をとった後、首にはまだ痛みがあったものの、デスクワークや軽い家事はできるようになります。首の症状は我慢できる程度のもので、医師にも、重大な損傷は何もないから安心するようにと言われました。

その後も数週間にわたって首の不快感は続きましたが、日常生活を続けるには何も支障はありませんでした。

J.Bさんも医師の診察を受けました。彼の方も首のけがは大したことはないと言われたにもかかわらず、鎮痛剤の量は増える一方です。 J.Bさんは眠れませんでした。仕事を探すこともできません。痛みは耐え難いものでした。理学療法や鍼、カイロプラクティックなどを受けましたが、いずれもせいぜい2、3時間ほど苦痛が和らぐだけです。

専門医にもかかって、X線撮影や血液検査、MRI、電気診断なども受けました。けれど何もわかりません。すっかり気が滅入ってしまった彼は、数週間がたち数カ月がたつうちに「慢性疼痛患者」となっていたのです。

J.Bさんは心理カウンセリングを受けるように勧められていたのですが、首の痛みは精神的なものではなく、本当に痛いのだと言って聞き入れませんでした。

それはその通り、本当に痛いのです。けれど心理的なストレスが、首の痛みに影響していたということもまた事実でした。

結局J.Bさんは、カウンセリングを受けることに同意します。カウンセリングと、並行して行われた抗うつ剤による治療、さらにはその後の職業訓練のおかげで、J.Bさんは痛みと自分白身とに折り合いをつけるようになりました。

そしてついに仕事を見つけることができたのです。首の痛みはすっかり軽くなりました。もはや、首の痛みからも「頭の痛い」問題からも脱したのです。